折紙彗星

色々と書く

いい試合だった

木下雄介の追悼試合

ファンですら彼の早すぎる死には深い悲しみを感じた。同じチームでプレイした選手たちの悲しみがどれほどのものであったか私には到底想像のつくものではない。

福留のタイムリー。配球を完璧に読んだかのようなきれいなヒット。最初インコースのデッドボールすれすれの厳しい球に思わずのけぞった福留は相手バッテリーをにらみつけるような怒りの表情を見せた。しかし、福留ほどの経験をもつ大打者があの程度のことで怒るとは思わない。あれはバッテリーを威嚇して球を絞っていくための演技ではないのかと思う。そういった細かい駆け引き、勝ちへの執着、とても見ごたえのある打席だった。

そしてその後の京田のタイムリー。これには思わず涙がこぼれた。自慢の俊足で二塁まで駆け抜けた京田はセカンドベースをたたいて感情をあらわにした。木下雄介とは家族ぐるみで仲の良かったという京田。この試合にかける思いに強さが伝わった。絶対打ってやるという気持ちがにじみ出ていた。ヒットはレフト線ぎりぎりの流し打ち。引っ張り方向へのヒットが多い京田の新境地を見せるかのような当たりはその技術の進歩が伺える鮮やかな一本だった。

その後9回の守備の場面で京田は涙を流しながらもショートゴロをさばき、最後はライデルが三振を取って試合終了。

京田はボールボーイへの態度が悪かったとかで数か月前までニュースになっていたが、彼は不真面目でも性格に難があるわけでもない。ちょっと感情が表に出やすいかもしれないが熱い男だ。